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東京地方裁判所 昭和52年(特わ)1730号 判決 1977年11月14日

本店所在地

東京都千代田区一番町一三番地

有限会社石原商店

(右代表者代表取締役石原富雄)

本籍及び住居

東京都千代田区一番町一三番地

会社役員

石原富雄

昭和七年九月一三日生

右の者らに対する法人税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官河内悠紀出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。

主文

被告人有限会社石原商店を罰金八〇〇万円に、被告人石原富雄を懲役八月にそれぞれ処する。

被告人石原富雄に対し、この裁判確定の日から二年間、右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人有限会社石原商店(以下「被告会社」という。)は、肩書地に本店を有し、真珠類並びに貴石及び半貴石の卸売等を目的とする資本金一〇〇〇万円の有限会社であり、被告人石原富雄(以下「被告人」という。)は、被告会社の代表取締役としてその業務全般を総括していたものであるが、被告人は、被告会社の業務に関し法人税を免れようと企て、売上の一部を除外して簿外預金を設定する等の方法により所得を秘匿したうえ、

第一  昭和四八年六月一日から同四九年五月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が四三九一万四二二七円あった(別紙(一)の修正損益計算書参照)のにかかわらず、同年七月三〇日、東京都千代田区神田錦町三丁目三番地所在の所轄麹町税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一二七七万九九二四円でこれに対する法人税額が三九六万二三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(昭和五二年押第一八七三号の符号一)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により被告会社の右事業年度における正規の法人税額一六三九万六六〇〇円(税額の算定は別紙(四)の一計算書参照)と右申告税額との差額一二四三万四三〇〇円を免れ、

第二  昭和四九年六月一日から同五〇年五月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が五〇六六万三七八四円あった(別紙(二)の修正損益計算書参照)のにかかわらず、同年七月三〇日、前記麹町税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一九四二万四二五六円でこれに対する法人税額が六五〇万九七〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(前同号の符号二)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により被告会社の右事業年度における正規の法人税額一八九九万二二〇〇円(税額の算定は別紙(四)の二計算書参照)と右申告税額との差額一二四八万二五〇〇円を免れ、

第三  昭和五〇年六月一日から同五一年五月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が六四七八万五四六二円あった(別紙(三)の修正損益計算書参照)のにかかわらず、同年七月二九日、前記麹町税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が二三五五万五三八八円でこれに対する法人税額が七七二万〇二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(前同号の符号三)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により被告会社の右事業年度における正規の法人税額二四二〇万一二〇〇円(税額の算定は別紙(四)の三計算書参照)と右申告税額との差額一六四八万一〇〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

第一  判示冒頭事実を含む判示事実全般につき、

一  被告人の当公判廷における供述並びに大蔵事務官に対する質問てん末書(二通)及び検察官に対する供述調書(二通)(乙1ないし4)

一  登記官作成の登記簿謄本(甲1)

第二  別紙(一)ないし(三)の各修正損益計算書掲記の各勘定科目別「当期増減金額」欄記載の数額のうち、

(イ)  「売上」(各<1>)につき

一 大蔵事務官作成の売上除外額調査書(甲一2)

(ロ)  「期首商品棚卸高」(各<2>及び「期末商品棚卸高」(各<4>)につき、

一 大蔵事務官作成の商品たな卸調査書(甲一3)

一 石原義春の大蔵事務官に対する申述書五通(甲一4ないし8)

一 石原義春、志垣乾郎の検察官に対する各供述調書(甲一13、14)

(ハ)  「公租公課」((二)<15>、(三)<15>)につき、

一 大蔵事務官作成の事業税額調査書(甲一11)

(ニ)  「雑費」((一)<26>、(二)<29>、(三)<25>)につき、

一 大蔵事務官作成の雑費勘定調査書(甲一9)

(ホ)  「貸倒引当金繰入」((二)<30>)につき、

一 押収にかかる昭和五〇年五月期法人税確定申告書(昭和五二年押第一八七三号の符号二)(甲二2)

(ヘ)  「受取手息」((一)<30>、(二)<33>、(三)<29>)につき、

一 大蔵事務官作成の受取利息等調査書(甲一10)

(ト)  「価額変動準備金戻入」((二)<41>、(三)<37>)及び「価格変動準備金繰入損」((一)<39>、(二)<42>、(三)<39>)につき、

一 麹町税務署長作成の証明書(甲一12)

(チ)  「繰越利益剰余金期中増」((三)<46>)、「貸倒引当金認容」((三)<51>)、「棚卸資産認容」((三)<52>)につき、

一 押収にかかる昭和五〇年五月期及び同五一年五月期各法人税確定申告書(前同号の符号二、三)(甲二2、3)

第三  同右各勘定科目別「公表金額」欄記載の数額及び過少申告の事実につき、

一  押収にかかる昭和四九年五月期、同五〇年五月期及び同五一年五月期各法人税確定申告書(前同号の符号一ないし三)(甲二1ないし3)

(法令の適用)

判示各所為は、各期ごとに法人税法第一五九条第一項(被告会社については、さらに同法第一六四条第一項)に該当するところ、被告人については各罪につき所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上は刑法第四五条前段の併合罪であるから被告会社については同法第四八条第二項により合算した金額範囲内において罰金八〇〇万円に、被告人については同法第四七条本文、第一〇条により犯情最も重いと認める判示第三の罪の刑に法定の加重をした刑期範囲内において懲役八月にそれぞれ処し、同法第二五条第一項を適用してこの裁判確定の日から二年間、被告人に対する刑の執行を猶予することとし、主文のとおり判決する。

(裁判官 半谷恭一)

別紙(一)

修正損益計算書

自 昭和48年6月1日

至 昭和49年5月31日

有限会社 石原商店

別紙(二)

修正損益計算書

自 昭和49年6月1日

至 昭和50年5月31日

有限会社 石原商店

別紙(三)

修正損益計算書

自 昭和50年6月1日

至 昭和51年5月31日

有限会社 石原商店

別紙(四)の一

税額計算書

有限会社 石原商店

別紙(四)の二

税額計算書

有限会社 石原商店

別紙(四)の三

税額計算書

有限会社 石原商店

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